バスの音に。

いつも、厨房の中は色んな音がしていて、

特に換気扇が、付いていると外の音は聞こえてきません。

 

先日、珍しく作業が少なく、換気扇が消えるのが早い日がありました。

外の音が聞こえます。

大通り沿いなので、バスが通ります。

バスの音。

。。。

ふ と、

お婆ちゃんの家を思い出しました。

その部屋は、狭い道に面した、京間の明るい部屋でした。

きれいな薄い水色(水色やったと思うけどなぁ。違ったかいなぁ。。笑)の反物が掛けてある、お婆ちゃんの姿見と、大きな襖。

泊まりに行くと、お婆ちゃんは、そこに布団を敷いてくれました。

前は狭い道やのに、京都交通の運転手は、絶妙なドライビングテクニックで、スルスルと走り抜けて行きます。

(たまに軒を削って行くそうですが。笑)

そのバスの走る音が、いつものお婆ちゃんの家の音。

昼も、夜もバスの音がしていました。

バスの振動で、

サリサリと、飾りガラスが揺れる音も、

バスの走る音と一緒によく鳴っていました。

 

けど、その家は、今はもうありません。

けど、この離れた金沢で、20年以上昔の、

お婆ちゃんの家の、あの明るい部屋が、

バスの音と共にあたしの目の前に、

ふ と、

現れる。

そこにあった、お婆ちゃんの笑顔も。

そこにあった、お爺ちゃんの笑顔も。

 

人の記憶って、

なんか、

温かいなぁ。。。